Q 体の中に入った時、複数の添加物が反応して、別の体に有害な物質に変化することはないのですか

2015年7月1日

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   個々の添加物は体に入っても害がないから添加しても良いと認められているのだろうが、体の中に入った時、複数の添加物が反応して、別の体に有害な物質に変化するということはないのですか。(添加物同士でなくても、食物についている農薬と添加物など)

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   一つの考え方として、農産物に複数の農薬が残留しているとします。
   しかし、その残留量はごくわずかな量であることを考える必要があります。

 

   健康上のリスクを伴わず人が生涯にわたって毎日摂取することができる食品添加物や農薬の量(ADI)は、実験動物に毎日一定量を食べさせ、一生食べ続けても「有害な影響が認められない最大の量」に通常100分の1の安全係数をかけて決められます。
   農薬の例をみると、農産物に残留する量は検出されないか、たとえ検出されてもその量は残留基準値を下回っているのがほとんどです。
   また、添加物についても、ADIよりずっと少なくなるように食品衛生法で使い方が決められています。
   一般的に、相乗毒性(複合毒性)が現れるかどうかは、物質の濃度による影響が大きいと考えられ、ADIより更に少ない残留量の食品添加物や農薬が、複数体の中に入っても相乗毒性は現れないとされています。

 

学識経験者のコメント
   複数の物質に同時に曝露したときに起こりうる作用は大きく分けて、相互に無関係(作用や標的が共通でないとき)、あるいは関連する場合の二通りが考えられます。普通は前者のケースが多いと考えて良いですが、後者の場合は物質の濃度と作用によって、相加、相乗、相殺又は拮抗の場合がありえます。

   同じ標的に同じメカニズムで作用する物質同士では通常の曝露のような低い濃度では相加(足し合わせ)又は拮抗による抑制となります。
   もし、その物質の作用が酵素の活性誘導や遺伝子の発現誘導により、他方の物質の代謝や分解を促進したり抑制する場合、あるいは細胞内への取り込みや細胞からの排出の制御に関連する場合は相乗と抑制作用が想定できます。
   しかし、実際に食品汚染物などへの曝露のように低い濃度の曝露では、このようなケースが起きることはほとんどありえません。ただし、薬と食品中の本来的な成分との相互作用などのように多量に生理活性の強い物質を併用した際に起きる薬の副作用については多くの研究があり、例えばグレープフルーツジュースに含まれる特定のフラボノイド成分は、ある種の薬の代謝分解を抑制することにより副作用を増強するという報告があり、服薬時にグレープフルーツジュースを飲まないようにと注意をされることがあります。

 

<参考>厚生労働省:食品添加物よくある質問(消費者向け)

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/qa_shohisya.html

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