「一日前プロジェクト」エピソード16 ~孫を助けなきゃと無我夢中(宮城県北部地震)~

2009年1月28日

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(石巻市 60代 女性)

 

朝ご飯を食べ終わって、片づけているときに地震が起きました。やっぱり、「観音開き※」というのはだめですね。台所の戸棚があいてものが飛び出し、何かが肩のあたりにぶつかりました。夢中ですぐにはわからなかったけれど、すり鉢でした。

 

娘の仕事があるときは、孫2人をうちでみているんです。その日も孫たちが奧の座敷で寝ていましたから、とにかく孫を助け出さなければと、無我夢中で孫のところへ行こうとしました。でも、ものすごい揺れで、自分が飛ばされちゃって満足に歩けないんです。

 

孫の名前を呼びながらたどりつくと、ドアの前に大きな米の袋がひっくり返っていました。「ああ、どうしよう」と思ったけど、そんなときはバカ力が出るんですね。その米をよけてなんとかドアをあけたら、「おばあちゃん!」って小さい孫が。「ああ、生きていたんだ」と思いました。

 

部屋のテレビも飛んでいたけれど、孫たちは無事でした。大きい孫はあの地震でも目を覚まさなかったようです。小さい孫が「お兄ちゃん、お兄ちゃん、地震だよ」って、お兄ちゃんの上に乗っかって起こしたと言うんだけれど、ほんとうはそうじゃなくて、地震でお兄ちゃんの上に自分が飛ばされていたんだと思います。

 

※観音開きとは、中央から左右に広がって開く形式の扉のこと。