遺伝子組換え食品について

2022年3月31日

遺伝子組換え食品について
  日本で安全性が確認されている遺伝子組換え農作物は次の9種類です。
   (1) ダイズ(除草剤耐性、高オレイン酸形質 等)

   (2) トウモロコシ(除草剤耐性、害虫抵抗性 等)

   (3) ナタネ(除草剤耐性 等)

   (4) ジャガイモ(害虫抵抗性、ウィルス抵抗性 等)

   (5) ワタ(除草剤耐性、害虫抵抗性)

   (6) テンサイ(除草剤耐性)

   (7) アルファルファ(除草剤耐性 等)

   (8) パパイヤ(ウイルス抵抗性)

   (9)からしな(除草剤耐性 等)
   なお、農作物の種類については9種類ですが、開発したメーカーそれぞれが安全性の確認を申請するため、品種として332品種が登録されています。(令和5年3月10日現在)

 

遺伝子組換え食品の安全性について
   「遺伝子組換え食品」の安全性を確保するため、厚生省(当時)は平成3年から「安全性評価指針」に基づいて個別に安全性審査を行ってきましたが、これは法律に基づかない任意の仕組みでした。しかしながら、遺伝子組換え食品の開発や実用化は、近年、国際的にも急速に広がってきており、今後さらに新しい食品の開発が進むことも予想されるため、食品衛生調査会の審議結果を踏まえ、安全性審査がされていないものが国内で流通しないよう、食品衛生法の規格基準(厚生省告示)を改正して、安全性審査を法的に義務化することとしました。
   これにより、平成13年4月1日からは、安全性審査を受けていない遺伝子組換え食品の輸入、販売等が法的に禁止されています。また、平成15年7月1日に食品安全基本法が施行され、内閣府に食品安全委員会が発足したことに伴い、遺伝子組換え食品の安全性審査は食品安全委員会の意見を聴いて行うこととなっています。食品としての安全性については、次の項目が審査されます。

   (家畜の飼料の審査も同じです。)
   (1) 挿入された遺伝子は安全か。
   (2) 新しく生み出されたタンパク質は、人に有害でないか。
   (3) アレルギーを起こす心配はないか。
   (4) 挿入した遺伝子が間接的に作用し、ほかの有害な物質を産生する可能性はないか。
   (5) 遺伝子を挿入したことにより、食品中の栄養素などが大きく変わらないか。
    ※なお、以上の項目を総合的に評価しても、なお安全性が確認できない場合には、必要に応じて動物を使った毒性試験などを行うこととなります。
    ※新たに科学的な知見が生じた場合は再評価が行われます。


遺伝子組み換え食品の表示について
   食品表示の項でも記載しましたが、遺伝子組換え食品の表示には、

   (1)「遺伝子組換え」等(義務表示)
   (2)「遺伝子組換え不分別」等(義務表示)
   (3)「分別生産流通管理済み」等(任意表示)
   (4)「遺伝子組換えでない」等(任意表示)の4通りがあります。


   (2)の「遺伝子組換え不分別」とは、生産流通の段階で遺伝子組換え農作物と非遺伝子組換え農作物の分別が実施されていないため、組換え原料が含まれる可能性が高いという意味です。
    ただし、ダイズ油とかしょう油などについては、組換え原料が使われていたとしても、加工処理する時に加える熱や発酵のために、組換え遺伝子がバラバラになってしまい存在しないため、義務表示の対象外とされています。
   しかし、消費者の中には、加工の過程において遺伝子がバラバラになり存在しないとしても、組換え原料が使われているかもしれない場合は、「不分別」の表示をすべきとの意見もあります。

   また、分別生産流通管理(IPハンドリング)が適切に行われている場合(大豆とトウモロコシについては、5%以内の意図せざる混入があっても)には、(3)「分別生産流通管理済み」等と表示することができます。

 (4)「遺伝子組み換えでない」の表示については、分別生産流通管理が適切に行われた上で、遺伝子組み換え農産物の混入がないと認められる対象農産物及びこれを原材料とする加工食品に限り、表示することができます。


遺伝子組み換え食品に対する様々な意見
   消費者が遺伝子組換え食品を受け入れられない理由の一つは、現時点では安全性が確認されたものであっても、次の世代に、あるいはその次の世代への影響が心配であるとの理由です。
   次に、環境、生態系への影響です。遺伝子組換え作物が、自然生態系に悪い影響を及ぼすことがないよう、その栽培については、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)による規制を受けます。日本では、現在、商業的な栽培は行われていませんが、近年、輸入した組換えナタネの種子が、水揚げされた港などでこぼれ落ち、芽を出し生長した事例が報告されています。最後に政治的、経済的な問題です。これは、特定の企業による種子独占の問題で、これらの企業が特定の除草剤に対して耐性を持つ種子を遺伝子組換え技術により開発し、この除草剤と種子をセットで販売するような取組が進めば、やがて世界の食料が特定の企業に支配されてしまうのではと心配する声もあります。

 

<参考>

消費者庁:遺伝子組換え食品

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/genetically_modified_food/

 

厚生労働省:遺伝子組換え食品

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bio/idenshi/index.html

お問い合わせ

消費者くらし安全局安全衛生課
電話:088-621-2110